マイ・ライフ・メモリー(Sunlight Jr. 2013年)
マイ・ライフ・メモリー(Sunlight Jr.)は、2013年ローリー・コルヤー監督作品です。
ノーマン・リーダスは、最低な彼氏のジャスティンを演じています。
結構、これがノーマンのハマリ役。
カッコいいノーマンのいいですが、こんな悪い役もこなせるノーマン。さすがです。
<ストーリー>
フロリダのコンビニで働くメリッサ(ナオミ・ワッツ)はモーテルで半身不随の恋人リッチー(マット・ディロン)と貧しい生活を送っていました。
コンビニの店長からセクハラを受けつつも細々と暮らしているメリッサでしたが、リッチーは自らのふがいなさから政府からの援助金をすべて酒代につぎ込み続けています。
さらには暴力が原因で別れたメリッサの元恋人ジャスティン(ノーマン・リーダス)が嫌がらせをしに毎日職場に現れます。
そんな中、メリッサはリッチーの子供を身ごもっていることに気づきます。
二人の生活に光が差したように見えたが、貧困層である彼らの生活は厳しく、仕事もクビになり、お金を借りる当てもありません。
八方塞がりに陥ったメリッサは黙って一人で子供を堕胎することを選択します。
格差が広がるアメリカ、ホワイトトラッシュの暗部を描いた作品
格差が広がるアメリカ、ホワイトトラッシュの暗部を描いた、ひたすらに重くやるせない気持ちになるような映画でした。
初めて聞く名前の監督でしたが、出演者は豪華。
これで出演者がB級俳優だったらおそらくスルーしてしまっただろうなという作品ですが、個人的にわたしはこういうやり場のない気持ちにさせられる映画、好きです。
ローリー・コルヤーによれば、バーバラ・エーレンライクの「ニッケル・アンド・ダイムド ―アメリカ下流社会の現実」を読み、家族が住むフロリダ州の抱える格差問題や、ワーキングプア、特にモーテルで暮らしている人々のことを描こうと決意したそうです。
「時代設定はアメリカンドリームが打ち砕かれた頃の話。この作品を観た人にアメリカの最低賃金で働く人々が抱える問題を考えるきっかけになったらいいと思う」とのことなので、1980年くらいの話なんでしょうか。
現代の話かと思っていましたが、ちょっと昔の設定なんですね。
母親も彼氏もアル中で、彼氏は半身不随で車椅子、元カレは薬の売人、家すらなくモーテル住まいの生活保護。
子供ができたと彼氏に伝えれば喜ぶものの、病院に行ってきたと言えばお金がもったいないと怒鳴られる。
はっきり言って悲惨です。
けれどいったんこういう負の連鎖のサイクルに組み込まれてしまうと、そこから抜け出るのはとてもとても難しいのだろうと思います。
日本でも「貧困女子」や「ネットカフェ難民」みたいな言葉が出てきて久しいですが、生育環境だったり、疲弊していく中での精神の健康だったり、自己責任だと本人の資質のせいだけにできない部分が大きいのかなと思います。
ちょっと上品すぎるかなという気はしますが、滲み出る不幸と諦めを演じさせるとナオミ・ワッツは天下一品ですね。
そして、子持ちで口が悪く、すぐ暴力に訴える、おまけに薬の売人、みたいな最低の元カレ・ジャスティンを、ノーマン・リーダスが演じています。
悪役顔だからか、こんな役が多いですね。似合ってますけど。思っていたより出演シーンが少なくて残念でした。
寒いし雨だし最近いいことないし、今日はひたすら暗い気分に浸りたい!みたいなときに見たい映画かなぁと思いました。