デッド・キャニオンでノーマン主演?脇役?
デッド・キャニオンは、ジョヴァンニ・ロドリゲス監督による2008年にアメリカで上映された国内未公開アクションスリラー映画です。
この映画は、米国版と日本版で著しくパッケージやタイトルに相違があるので、取り上げます。
まず、タイトルから。米国のタイトルはRED CANYON”。つまり赤い谷を指します。
それが、日本版ではデッド キャニオン(DEAD CANYON)と死の谷になってしまいます。
翻訳者さんが早とちりしたんでしょうか?
さらに、日本版ではノーマン主演となっていますが、IMDbの紹介ページでは、ノーマンは脇役扱いですね。
日本でのノーマン人気にあやかろうとしたのが真相でしょう。
ハリウッドで美術の仕事をしていたというジョヴァンニ・ロドリゲス 監督にとって処女作であるこの作品は、キャストも新人や下積み途中の人たちが集められていますので、ノーマンのちょい役というのはわかるんですけどね。
映画のストリー
デヴォンとレジーナという兄妹が、ユタ州にある故郷のレッド・キャニオンに帰ったところから始まります。
レジーナはかつてそこで凶悪な事件に巻き込まれたことがあるのですが、事件のショックで当時の記憶がありません。しかし、故郷での暮らしを続けていると、徐々に当時の記憶が蘇ってきます。
それから、自分が忘れてしまった記憶を全て取り戻すために事件現場の洞窟へと向かうと、そこで再び昔の事件の犯人に襲われてしまいます。
ノーマン・リーダスはそのレジーナを襲ったその犯人であるマックを演じています。
踏み入った洞窟の中でレジーナは、工業用照明に照らされた小部屋を見つけます。
そこにはドラム缶やビン瓶詰めされた沢山の薬品。床に転がるビールの空き瓶や、テーブルに置かれた蒸留器。壁にかけられたロープの束。吊るされたガスマスク。
それらを見たレジーナに昔の記憶が蘇ってきます。そこは、マックの隠れ家だったのです。
犯人を思い出したレジーナですが、マックがそこに現れてしまいます。レジーナと対峙したマックは彼女を押し倒し、手にしていた酒を浴びせかけ、ナイフでレジーナの衣服を裂きます。
窮地に陥ったレジーナですが、そこに駆けつけたデヴォンや彼女の友人に阻まれて彼の計画は失敗に終わります。
一度は警察に逮捕されるマックですが、彼が拘置されていた警察署は何者かによる襲撃を受け、捕らえられていたマックはその隙に警察署を抜け出します。
そして、デヴォンとレジーナの周りで凄惨な連続殺人が繰り返されていくというのが、本作品のあらすじです。
ノーマンのワイルドな狂気が見もの
犠牲者が血塗れになるだけでなく、眼にナイフを突き刺す描写や、内臓が腹から零れ落ちたりといったスプラッター要素もあり、万人受けはしないだろうとは思います。
ですが、凶悪犯マックによる連続殺人を主人公たちが食い止めるだけというような一直線な筋書きではなく、犯行が重ねられるに連れて新たな謎が生まれ、疑惑が深まっていく内容となっておりますので、一味違ったスリラーを体験できるのではないでしょうか。
またヒーローや、それに準ずる役が多いノーマン・リーダスの希少な悪役の演技を堪能できる作品でもあります。
ナイフを突きつけて脅す姿や、パトカーに連行される間際、忌々しい目つきでレジーナを睨むその視線は、見ている人をも不安にさせます。
鬼気迫る表情でレジーナを追い詰め、身包みを剥がしていく姿には圧倒されます。
ノーマン・リーダスのファンでしたら、そういった普段は見られない彼の姿を追いかけてみるのも面白いでしょう。